【研究成果】プラスチック太陽電池の発電機構を解明―オフセットが小さくても光電変換効率が高い理由を分析―
高分子化学専攻の玉井康成 助教、大北英生 教授、夏田慎一朗 修士課程学生(研究当時)らの研究グループは、半導体ポリマーと非フラーレン型電子アクセプター(NFA)を用いた有機薄膜太陽電池(OSC)の発電メカニズムを明らかにしました。
従来のOSCでは半導体ポリマーとフラーレン誘導体とのエネルギー準位差(オフセット)を駆動力として光電変換していました。その一方で、近年ではNFAを用いることにより、オフセットが小さくても光電変換できるOSCの作製が可能になっています。しかし、その機構については十分に理解されていませんでした。
本研究により、NFAを用いたOSCの光電変換機構は従来系とは異なり、半導体ポリマーとNFAとの相分離界面近傍に形成されるエネルギー準位勾配を駆動力として光電変換していることを明らかにしました。これらの知見は、OSCのさらなる効率向上をもたらすと期待されます。
本研究成果は、2022年2月22日に、国際学術誌「Energy & Environmental Science」のオンライン版に掲載されました。
詳しい研究内容について
プラスチック太陽電池の発電機構を解明―オフセットが小さくても光電変換効率が高い理由を分析―
研究者情報
玉井康成 京都大学教育研究活動データベース
大北英生 京都大学教育研究活動データベース
論文情報
【タイトル】
Cascaded energy landscape as a key driver for slow yet efficient charge separation with small energy offset in organic solar cells
(有機薄膜太陽電池における低速かつ高効率な電荷分離の鍵はカスケード状のエネルギー準位勾配)
【著者】Shin-ichiro Natsuda, Toshiharu Saito, Rei Shirouchi, Yuji Sakamoto, Taiki Takeyama, Yasunari Tamai*, Hideo Ohkita
【掲載誌】Energy & Environmental Science
【DOI】https://doi.org/10.1039/d1ee03565g