【研究成果】光の波長変換機能を利用した新たな半導体接合法の開発に成功―低コストで太陽電池の光電変換効率向上が可能に―
太陽電池の高性能化には、太陽光の幅広い波長域の有効活用が重要です。そのために、各々が固有の吸収波長帯を持つ半導体材料を複数積層した多接合太陽電池は、高効率化手法の代表例です。
化学工学専攻の 田辺克明 准教授、佐野直希 同修士課程学生(研究当時)、西ヶ谷紘佑 同修士課程学生(研究当時)の研究グループは、波長変換材料を介した半導体接合法を提案、開発するとともに、当技術を用いた太陽電池を作製し、発電性能の向上を実証しました。その結果、今回開発した手法で作成した太陽電池は、一般的な従来型の太陽電池に比べて2割程度の電流の増大、3割程度の発電効率の上昇を観測しました。この手法は、これまでの技術では難しかった、接合の形成と光機能の導入を同時にもたらし得る半導体界面工学の新しい概念と言えます。汎用性の高い技術であり、多接合太陽電池の高効率化や、光コンピューターなどのデバイスの高性能化につながることが期待されます。
本成果は、2022年7月6日(現地時刻)に米国の国際学術誌「Applied Physics Letters」にオンライン掲載されました。
詳しい研究内容について
光の波長変換機能を利用した新たな半導体接合法の開発に成功―低コストで太陽電池の光電変換効率向上が可能に―
研究者情報
田辺克明 京都大学教育研究活動データベース
論文情報
【タイトル】
Upconversion semiconductor interfaces by wafer bonding for photovoltaic applications
(太陽電池応用向けのウェハ接合による上方変換半導体界面)
【著者】
Naoki Sano, Kosuke Nishigaya, and Katsuaki Tanabe
【掲載誌】Applied Physics Letters
【DOI】10.1063/5.0097427
【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/274851