光合成細菌を窒素肥料に -窒素を空気中から固定する細菌を無機肥料の代替として利用-

材料化学専攻の沼田圭司教授(理化学研究所(理研)環境資源科学研究センターバイオ高分子研究チーム・チームリーダー)、同専攻シャミタ・ラオ・モレ-ヤギ特定助教(理研・客員研究員)、京都大学大学院農学研究科の木下有羽助教、元木航助教(研究当時)らの共同研究グループは、破砕・乾燥処理した海洋性の非硫黄紅色光合成細菌のバイオマスが作物栽培の窒素肥料として利用可能であることを明らかにしました。

本研究成果は、既存の窒素肥料に替わる持続可能な窒素肥料の開発に貢献すると期待できます。

海洋性の非硫黄紅色光合成細菌であるRhodovulum sulfidophilumは窒素と二酸化炭素の固定が可能であり、これを破砕・乾燥処理したバイオマスは11%(重量比)もの窒素を含有しています。共同研究グループはそのバイオマスを肥料として利用し、植物がバイオマス由来の窒素を直接的に取り込んでいることを確認しました。このバイオマスは無機肥料の4倍に相当する量を施肥しても植物の発芽や生育に悪影響が見られませんでした。

本研究は、科学雑誌『npj Sustainable Agriculture』オンライン版(6月7日付)に掲載されました。

研究詳細

光合成細菌を窒素肥料に -窒素を空気中から固定する細菌を無機肥料の代替として利用-

研究者情報

書誌情報

タイトル

Utilization of lysed and dried bacterial biomass from the marine purple photosynthetic bacterium Rhodovulum sulfidophilum as a sustainable nitrogen fertilizer for plant production

著者

Shamitha Rao Morey-Yagi, Yu Kinoshita, Ko Motoki, Yu Iwahashi, Dao Duy Hanh, Shota Kato, Ryohei Nakano, Kumiko Ochiai, Masaru Kobayashi, Tetsuya Nakazaki, Keiji Numata

掲載誌

npj Sustainable Agriculture

DOI

10.1038/s44264-024-00018-0

KURENAI

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