分子性物質中の電荷移動度の包括的なデータ解析から電子輸送における分子積層の特異点を予測

分子工学専攻 関 修平教授・Paitandi Rajendra氏(日本学術振興会研究員)・崔 旭鎮特定助教・Samrat Ghosh氏(日本学術振興会研究員)・田中 隆行准教授らのグループは、マイクロ波伝導度測定法を用いた物質中の電子輸送特性を迅速にスクリーニングできる技術(TRMC法)を用いて、さまざまな分子性物質中での電荷移動度の計測を行ってきました。この結果をもとにした包括的な解析から、 1)分子積層構造における電荷輸送経路の特異点、2)キラル分子性物質集積において、約130年間追及されてきたWallachの法則を、電子状態密度の観点から低次元物質においてこれを破れる可能性、を指摘することができました。Anti-Wallach則ともいえるこの物質群の発見は、今後の分子性電子材料の開発に新しい道を拓くものと期待されます。

本研究成果は、2024821日に、国際学術誌「Accounts of Chemical Research」にオンライン掲載されました。

研究詳細

分子性物質中の電荷移動度の包括的なデータ解析から電子輸送における分子積層の特異点を予測―19世紀末から指摘されてきたキラル分子性物質の集積におけるWallach(バラッハ)則を電子状態密度の観点から低次元系で破れる可能性を指摘―

研究者情報

書誌情報

タイトル

Electron Transport over 2D Molecular Materials and Assemblies(2次元分子および分子集積体における電子輸送)

著者

Shu Seki, Rajendra Prasad Paitandi, Wookjin Choi, Samrat Ghosh, and Takayuki Tanaka

掲載誌 Accounts of Chemical Research
DOI 10.1021/acs.accounts.4c00376
KURENAI

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