半導体バンドギャップのアンサンブル学習―世界最高の予測精度を達成―
半導体のバンドギャップは、電子・光デバイスの性質を決定付ける重要な物性値です。デバイスの新規開発や性能向上には未知の半導体材料のバンドギャップの予測が有効ですが、これまでの計算法ではその精度や計算コストが課題とされています。
化学工学専攻の田辺克明 教授、増田太一 同学部生(研究当時)の研究グループは、既知の材料の実測値をもとに機械学習法によって未知の材料の物性値を予測するデータ駆動型のアプローチに立脚し、従来は個別に検討されていたニューラルネットワークを組み合わせたアンサンブル学習モデルを提案しました。開発したモデルは、化合物の組成のみからの予測を可能とし、無機半導体材料のバンドギャップについて、既存の機械学習モデルの中で最高となる予測精度を達成しました。今回の結果は、ニューラルネットワークのアンサンブル学習の活用により次世代半導体材料として有望な化学組成を効率的に探索できる可能性を示唆しており、今後の新規半導体材料の開拓に向け、高速かつ高精度な予測をもたらす有用な手法となることが期待されます。
本成果は、2024年9月9日(現地時刻)に米国の国際学術誌「Computational Materials Science」にオンライン掲載されました。
研究詳細
半導体バンドギャップのアンサンブル学習―世界最高の予測精度を達成―
研究者情報
- 田辺 克明 京都大学教育研究活動データベース
書誌情報
タイトル |
Neural network ensembles for band gap prediction(バンドギャップ予測のためのニューラルネットワークアンサンブル) |
---|---|
著者 |
Taichi Masuda and Katsuaki Tanabe |
掲載誌 |
Computational Materials Science |
DOI | doi.org/10.1016/j.commatsci.2024.113327 |
KURENAI | ー |